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特定事業所加算の概要
質の高い介護サービスを提供している訪問介護事業所を評価する加算のことです。
専門性の高い人材の配置、定期的な会議の開催、研修や健康診断の実施など一定の条件を満たすことで加算を取得できます。
特定事業所加算の算定要件は?
①計画的な研修の実施
- 定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等・サービス提供責任者ごとに対し、訪問介護員等・サービス提供責任者ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い、研修(外部における研修を含む。)を実施又は実施を予定していること。
「訪問介護員等ごとに研修計画を作成」又は「サービス提供責任者ごとに研修計画を作成」については、当該事業所におけるサービス従事者の資質向上のための研修内容の全体像と当該研修実施のための勤務体制の確保を定めるとともに、訪問介護員等又はサービス提供責任者について個別具体的な研修の目標、内容、研修期間、実施時期等を定めた計画を策定する必要があります。
②会議の定期的開催
- 利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。
「利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議」とは、サービス提供責任者が主宰し、登録ヘルパーも含めて、当該事業所においてサービス提供に当たる訪問介護員等のすべてが参加するものでなければなりません。なおまた、実施に当たっては、全員が一堂に会して開催する必要はなく、サービス提供責任者ごとにいくつかのグループ別に分かれて開催することで差し支えない。会議の開催状況については、その概要を記録しなければならない。なお、「定期的」とは、おおむね 1 月に 1 回以上開催されている必要があります。
③文書等による指示及びサービス提供時の特段の要望
- 指定訪問介護の提供に当たっては、サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること。
「当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項」とは、少なくとも、次に掲げる事項について、その変化の動向を含めて記載します。
- 利用者のADLや意欲
- 利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
- 家族を含む環境
- 前回のサービス提供時の状況
- その他サービス提供に当たって必要な事項
「前回のサービス提供時の状況」を除く事項については、変更があった場合に記載することで足りるものとし、1日のうち、同一の訪問介護員等が同一の利用者に複数回訪問する場合であって、利用者の体調の急変等、特段の事情がないときは、当該利用者に係る文書等の指示及びサービス提供後の報告を省略することも差し支えありません。
また、サービス提供責任者が事業所に不在時のサービス提供に係る文書等による指示及びサービス提供後の報告については、サービス提供責任者が事前に一括指示を行い、適宜事後に報告を受けることも差し支えないものとする。この場合、前回のサービス提供時の状況等については、訪問介護員等の間での引き継ぎを行う等、適切な対応を図るとともに、利用者の体調の急変等の際の対応のためサービス提供責任者との連絡体制を適切に確保すること。「文書等の確実な方法」とは、直接面接しながら文書を手交する方法のほか、FAX、メール等によることも可能である。また、訪問介護員等から適宜受けるサービス提供終了後の報告内容について、サービス提供責任者は、文書(電磁的記録を含む)にて記録を保存します。
④定期健康診断の実施
- 当該指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施すること。
健康診断等については、労働安全衛生法により定期に実施することが義務付けられた「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等も含めて、少なくとも1年以内ごとに1回、事業主の費用負担により実施しなければならない。新たに加算を算定しようとする場合にあっては、少なくとも1年以内に当該健康診断等が実施されることが計画されていることをもって足りるものとする。
⑤緊急時における対応方法の明示
- 指定居宅サービス等基準第 29 条第 6 号に規定する緊急時等における対応方法が利用者に明示されていること。
「明示」については、当該事業所における緊急時等の対応方針、緊急時の連絡先及び対応可能時間等を記載した文書を利用者に交付し、説明を行うものとする。なお、交付すべき文書については、重要事項説明書等に当該内容を明記することをもって足りるものとする。
⑥病院、診療所又は訪問看護ステーションの看護師との連携
- 病院、診療所又は訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保しており、かつ、必要に応じて訪問介護を行うことができる体制の整備、看取り期における対応方針の策定、看取りに関する職員研修の実施等が行われていること。
- 管理者を中心として、連携先の訪問看護ステーション等と夜間における連絡・対応体制に関する取り決め(緊急時の注意事項や利用者の病状等についての情報共有の方法等を含む)がなされていること。
- 管理者を中心として、訪問介護員等による利用者の観察項目の標準化(どのようなことが観察されれば連携先の訪問看護ステーション等に連絡するか)がなされていること。
- 事業所内研修等を通じ、訪問介護員等に対して、イ及びロの内容が周知されているこ
- と。
⑦中山間地域等に居住する者への継続的なサービス提供
通常の事業の実施地域内であって中山間地域等に居住する者に対して、継続的にサービスを提供していること。
中山間地域等に居住する者への対応実績については、利用実人員を用いて算定するものとされていますが、例えば下記のような場合、前3月の平均値は次のように計算します。(前年度の平均値の計算についても同様)
※ 一体的運営を行っている場合の介護予防訪問介護の利用者に関しては計算には含めません。
※ 特別地域加算等の算定を行っている利用者に関しては計算には含めません
※ 実績については、特定の月の実績が1人を下回ったとしても、前年度又は前3月の平均が1人以上であれば、要件を満たしているとされます。
⑧利用者の心身の状態や周囲の環境の変化に応じた訪問介護計画の見直し
- 利用者の心身の状況またはその家族等を取り巻く環境の変化に応じて、訪問介護事業所のサービス提供責任者等が起点となり、随時、介護支援専門員、医療関係職種等と共同し、訪問介護計画の見直しを行っていること。
・訪問介護事業所における訪問介護計画の見直しは、サービス提供責任者を中心に多職種協働により行われるものであるが、その都度全ての職種が関わらなければならないものではなく、見直しの内容に応じて、適切に関係者がかかわることで足りるものである。
・また、訪問介護計画の見直しに係る多職種協働は、必ずしもカンファレンスなどの会議の場により行われる必要はなく、日常的な業務の中でのかかわりを通じて行われることも少なくない。通常の業務の中で、主治の医師や看護師、介護職員等の意見を把握し、これに基づき訪問介護計画の見直しが行われていれば,本加算の算定要件を満たすものである。なお、加算の要件を満たすことのみを目的として、新たに多職種協働の会議を設けたり書類を作成することは要しない。
⑨訪問介護員等のうち介護福祉士の占める割合が100分の30以上、又は介護福祉士、実務者研修修了者、並びに介護職員基礎研修課程修了者及び1級課程修了者の占める割合が100分の50以上
当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等の総数のうち介護福祉士の占める割合が 100 分の 30 以上又は介護福祉士、実務者研修修了者並びに施行規則第 22 条の 23 第 1 項 に規定する介護職員基礎研修課程を修了した者(以下「介護職員基礎研修課程修了者」という。)及び 1 級課程を修了した者(以下「1 級課程修了者」という。)の占める割合が 100 分の 50 以上であること。
⑩全てのサービス提供責任者が3年以上の実務経験を有する介護福祉士、又は5年以上の実務経験を有する実務者研修修了者若しくは介護職員基礎研修課程修了者若しくは1級課程修了者
介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者及び一級課程修了者の割合については、前年度(3月を除く)又は届出日の属する月の前3月の1月当たりの実績の平均について、常勤換算方法により算出した数を用いて算出するものとする。なお、介護福祉士又は実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者若しくは1級課程修了者とは、各月の前月の末日時点で資格を取得している又は研修の課程を修了している者とすること。また、看護師等の資格を有する者については、1級課程の全科目を免除することが可能とされていたことから、1級課程修了者に含めて差し支えない。
⑪サービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること
指定居宅サービス等基準第 5 条第2項の規定により配置することとされている常勤のサービス提供責任者が 2 人以下の指定訪問介護事業所であって、同項の規定により配置することとされているサービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、同項 に規定する基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を 1 人以上配置していること。
指定居宅サービス等基準第5条第2項の規定により配置されることとされている常勤のサービス提供責任者が2人以下の指定訪問介護事業所であって、基準により配置することとされている常勤のサービス提供責任者の数(サービス提供責任者の配置について、常勤換算方法を採用する事業所を除く。)を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置しなければならないこととしているものである。
⑫訪問介護員等の総数のうち、勤続7年以上の占めるものの割合が100分の30以上であること。
⑬利用者のうち、要介護4、5である者、日常生活自立度(Ⅲ、Ⅳ、M)である者、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が100分の20以上であること。
前年度又は算定日が属する月の前 3 月間における利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護 3、要介護 4 又は要介護 5 である者、日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症である者並びに社会福祉士及び介護福社士法施行規則第 1 条各号に掲げる行為を必要とする者の占める割合が 100 分の 60 以上であること。
※人員要件及び重度要介護者等対応要件における割合の算出方法 イ 前年度の実績が 6 月に満たない事業所(新たに事業を開始し、又は再開した事業所を含む。)については、前年度の実績による加算の届出はできないものとする。
前 3 月の実績により届出を行った事業所については、届出を行った月以降においても、直近 3 月間の職員又は利用者の割合につき、毎月継続的に所定の割合を維持しなければならない。また、その割合については、毎月ごとに記録するものとし、所定の割合を下回った場合については、直ちに加算取下げの届出を提出しなければならない
⑫看取り期の利用者への対応実績が1人以上であること(併せて体制要件⑥の要件を満たすこと)
対応実績と算定の可否は下記の通り。
令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)
加算(Ⅰ)・(Ⅲ)については、重度者等対応要件を選択式とし、(13)または(14)を満たす場合に算定できることとする。また、(14)を選択する場合には(6)を併せて満たす必要がある。
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | ||
体 制 要 件 | ①訪問介護員等ごとに作成された研修計画に基づく研修の実施 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
②利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議の定期的な開催 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
③利用者情報の文書等による伝達(※)、訪問介護員等からの報告 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
④健康診断等の定期的な実施 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
⑤緊急時等における対応方法の明示 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
⑥サービス提供責任者ごとに作成された研修計画に基づく研修の実施 | ○ | |||||
人材要件 | ⑦訪問介護員等のうち介護福祉士の占める割合が100分の30以上、又は介護福祉士、実務者研修修了者、並びに介護職員基礎研修課程修了者及び1級課程修了者の占める割合が100分の50以上 | ○ | ○
又は | |||
⑧全てのサービス提供責任者が3年以上の実務経験を有する介護福祉士、又は5年以上の実務経験を有する実務者研修修了者若しくは介護職員基礎研修課程修了者若しくは1級課程修了者 | ○ | ○ | ||||
⑨サービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、同項に規定する基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること。 | ○ | |||||
⑩訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であること。 | ○ | |||||
重度者対応要件 | ⑪利用者のうち、要介護4、5である者、日常生活自立度(III、IV、M)である者、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が100分の20以上 | ○ | ○ | |||
⑫利用者のうち、要介護3〜5である者、日常生活自立度(III、IV、M)である者、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が100分の60以上 | ○ |
(※)直接面接しながら文書を手交する方法のほか、FAX、メール等によることも可能
加算(V)は、加算(III)(重度者対応要件による加算)との併算定が可能であるが、加算(I)、(II)、(IV)(人材要件が含まれる加算)との併算定は不可。
特定事業所加算の単位数
- 特定事業所加算(I)・・・+20/100
- 特定事業所加算(II)・・・+10/100
- 特定事業所加算(III)・・・+10/100
- 特定事業所加算(IV)・・・+3/100
- 特定事業所加算(I)・・・+20/100
- 特定事業所加算(II)・・・+10/100
- 特定事業所加算(III)・・・+10/100
- 特定事業所加算(IV)・・・+5/100
- 特定事業所加算(V)・・・+3/100
よくある質問 Q&A
- 特定事業所加算及びサービス提供体制強化加算における介護福祉士又は介護職員基礎研修課程修了者若しくは一級課程修了者とは、各月の前月の末日時点で資格を取得している者とされているが、その具体的取扱いについて示されたい。
- 要件における介護福祉士等の取扱いについては、登録又は修了証明書の交付まで求めるものではなく、例えば介護福祉士については、平成21年3月31日に介護福祉士国家試験の合格又は養成校の卒業を確認し、翌月以降に登録をした者については、平成21年4月において介護福祉士として含めることができる。また、研修については、全カリキュラムを修了していれば、修了証明書の交付を待たずに研修修了者として含めることが可能である。
なお、この場合において、事業者は当該資格取得等見込み者の、試験合格等の事実を試験センターのホームページ等で受験票と突合する等して確認し、当該職員に対し速やかな登録等を促すとともに、登録又は修了の事実を確認するべきものであること。
(介護保険最新情報vol.69平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)〔2〕)
- 特定事業所加算及びサービス提供体制強化加算の要件のうち、計画的な研修の実施に係る要件の留意事項を示されたい。
- 訪問介護員等(訪問入浴介護従業者等を含む。以下問3及び問4において同じ。)ごとに研修計画を策定されることとしているが、当該計画の期間については定めていないため、当該訪問介護員等の技能や経験に応じた適切な期間を設定する等、柔軟な計画策定をされたい。
また、計画の策定については、全体像に加えて、訪問介護員等ごとに策定することとされているが、この訪問介護員等ごとの計画については、職責、経験年数、勤続年数、所有資格及び本人の意向等に応じ、職員をグループ分けして作成することも差し支えない。
なお、計画については、すべての訪問介護員等が概ね1年の間に1回以上、なんらかの研修を実施できるよう策定すること。
(介護保険最新情報vol.69平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)〔3〕)
- 特定事業所加算及びサービス提供体制強化加算の要件のうち、定期的な健康診断の実施に係る要件の留意事項を示されたい。
- 本要件においては、労働安全衛生法により定期的に健康診断を実施することが義務づけられた「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等を含めた、すべての訪問介護員等に対して、1年以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断(常時使用する者に労働者に該当しない者に対する健康診断の項目についても労働安全衛生法と同様とする)を、事業所の負担により実施することとしている。
また、「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等に対する健康診断については、労働安全衛生法における取扱いと同様、訪問介護員等が事業者の実施する健康診断を本人の都合で受診しない場合については、他の医師による健康診断(他の事業所が実施した健康診断を含む。)を受診し、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、健康診断の項目を省略できるほか、費用については本人負担としても差し支えない(この取扱いについては、高齢者の医療の確保に関する法律により保険者が行う特定健康診査については、同法第21条により労働安全衛生法における健康診断が優先されることが定められているが、「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等については、同条の適用はないことから、同様の取扱いとして差し支えない。)。
(介護保険最新情報vol.69平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)〔4〕)
- 問1のよう な 特定加算 の 区分の変更の届出に 関する 3か月間の経過措置 について、訪問介護における 特定事業所加算 も同様の特例が認められるのか 。
- ・入居継続支援加算及び日常生活継続支援加算については、喀痰吸引を必要とする利用者の割合に関する要件等を満たせないことにより算定できない状況となった場合に、3か月間の経過措置を設けているものである。
・訪問介護については、特定事業所加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)の算定により介護福祉士の配置等要件を満たすことができることとしている。このため、喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件等を満たせず特定事業所加算(Ⅰ)が算定できなくなったとしても、特定事業所加算(Ⅱ)を算定し、特定加算(Ⅰ)を算定することが可能であるため、3ヶ月の経過措置の対象とはならない。なお、特定事業所加算(Ⅱ)を算定できない場合は、特定加算(Ⅱ)を算定することとなるため、変更の届出が必要である。
(事務連絡「2019年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和元年7月23日)」の送付について〔2〕)
- 介護予防・日常生活支援総合事業における訪問介護従前相当サービスについては、特定事業所加算がないところ、特定加算(Ⅰ)を算定するにはどうすれば良いか。
- 「地域支援事業実施要綱」(一部改正:平成31 年4月26 日付老発0426 第5号)において、「対象事業所が、併設の指定訪問介護事業所において特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定していることを要件とする」こととしており、当該要綱に基づいて対応されたい。
(事務連絡「2019年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和元年7月23日)」の送付について〔4〕)
- 訪問介護における特定事業所加算の算定要件については、毎月満たしていなければならないのか。また、要件に該当しないことが判明した場合の取扱いはどのようになるのか。
- 基本的には、加算取得の届出後についても、常に要件を満たしている必要がある。要件に該当しないことが判明すれば、その時点で廃止届出を出し、翌月分から算定しない取扱いとする。
(介護制度改革information vol.80平成18年4月改定関係Q&A(vol.2)〔28〕)
- 特定事業所加算における人材要件のうち、「サービス提供責任者要件」を月の途中で満たさなくなった場合、加算の算定ができなくなるのは、その当日からか。それとも、その翌月の初日からか。
- 翌月の初日からとする。
なお、前月の末日時点でサービス提供責任者要件を満たしていて、その翌月(以下、「当該月」という。)の途中で要件を満たさなくなった場合、当該月の末日にその状態が解消した場合に限り、加算要件は中断しないものとする。ただし、当該月に人員基準を満たさなくなった場合はこの限りでない。
(介護保険最新情報vol.69平成21年4月改定関係Q&A(vol.1)〔28〕)
- 特定事業所加算の重度要介護者等対応要件における具体的な割合はどのように算出するのか。
- 重度要介護者等対応要件の利用者の割合については、利用実人員又は訪問回数を用いて算定するものとされているが、例えば下記のような場合、前三月の平均値は次のように計算する(前年度の平均値の計算についても同様である。)。
(注1)一体的運営を行っている場合の介護予防訪問介護の利用者に関しては計算には含めない。
(注2)利用者Gについては、たんの吸引等の業務を行うための登録を受けた事業所のみ算入可能。
(注3)例えば、利用者H、I、Jのように、「要介護度4以上」、「認知症自立度Ⅲ以上」又は「たんの吸引等が必要な者」の複数の要件に該当する場合も重複計上はせず、それぞれ「1人」又は「1回」と計算する。
① 利用者の実人数による計算
・総数(利用者Bは2月の利用実績なし)
10人(1月)+9人(2月)+10人(3月)=29人
・重度要介護者等人数(該当者B,F,G,H,I,J)
6人(1月)+5人(2月)+6人(3月)=17人
したがって、割合は17人÷29人≒58.6%≧20%
② 訪問回数による計算
・総訪問回数
79回(1月)+63回(2月)+75回=217回
・重度要介護者等に対する訪問回数(該当者B,F,G,H,I,J)
61回(1月)+48回(2月)+59回(3月)=168回
したがって、割合は168回÷217回≒77.4%≧20%
なお、上記の例は、人数・回数の要件をともに満たす場合であるが、実際には①か②のいずれかの率を満たせば要件を満たす。
また、当該割合については、特定の月の割合が20%を下回ったとしても、前年度又は前三月の平均が20%以上であれば、要件を満たす。
(事務連絡介護保険最新情報vol.267「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)」の送付について〔15〕)
- 特定事業所加算の重度要介護者等対応要件に、「たんの吸引等の行為を必要とする利用者」が含まれたが、たんの吸引等の業務を行うための登録を受けた事業所以外はこの要件を満たすことができないのか。
- 登録事業所以外であっても、要介護4以上又は認知症自立度Ⅲ以上の割合が20%以上であれば、重度要介護者等対応要件を満たす(登録事業所に限り、たんの吸引等の行為を必要とする利用者を重度要介護者等対応要件に関する割合の計算に当たり算入できる。)。
なお、「たんの吸引等の行為を必要とする利用者」とは、たんの吸引等の行為を当該登録事業所の訪問介護員等が行うことにつき医師の指示を受けている者をいう。
(事務連絡介護保険最新情報vol.267「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)」の送付について〔14〕)
- 特定事業所加算の体制要件として、サービス提供責任者が訪問介護員等に対して文書等による指示を行い、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けることとされているが、毎回のサービスごとに行わなければならないのか。
- サービス提供責任者は、サービス提供前に訪問介護員等に対して文書等による指示を行い、事後に訪問介護員等からの報告を適宜受けることとしているが、下図AからCまでに示す場合については、サービス提供責任者が文書等による事前の指示を一括で行い、サービス提供後の報告を適宜まとめて受けることも可能である。
(事務連絡介護保険最新情報vol.267「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)」の送付について〔13〕)
- 次のような場合における特定事業所加算の取扱い及び届出に関する留意事項について
・特定事業所加算(Ⅰ)を算定している事業所が、人材要件のいずれか一方若しくは双方又は重度要介護者等対応要件を満たさなくなった場合
・特定事業所加算(Ⅱ)又は(Ⅲ)を算定していた場合に、一方の要件を満たさなくなったが、もう一方の要件を満たす場合 - 特定事業所加算については、月の15日以前に届出を行った場合には届出日の翌月から、16日以後に届出を行った場合には届出日の翌々月から算定することとなる。この取扱いについては特定事業所加算(Ⅱ)又は(Ⅲ)を算定していた事業所が(Ⅰ)を算定しようとする場合の取扱いも同様である(届出は変更でよい。)。
また、特定事業所加算を算定する事業所は、届出後も常に要件を満たしている必要があり、要件を満たさなくなった場合は、速やかに廃止の届出を行い、要件を満たさないことが明らかとなったその月から加算の算定はできない取扱いとなっている。
ただし、特定事業所加算(Ⅰ)を算定していた事業所であって、例えば重度要介護者等対応要件のみを満たさなくなる場合は、(Ⅰ)の廃止後(Ⅱ)を新規で届け出る必要はなく、(Ⅰ)から(Ⅱ)への変更の届出を行うことで足りるものとし、届出日と関わりなく、(Ⅰ)の算定ができなくなった月から(Ⅱ)の算定を可能であることとする(下記例参照)。この場合、居宅介護支援事業者への周知や国保連合会のデータ処理期間の関係もあるため速やかに当該届出を行うこと。この取扱いについては、例えば(Ⅲ)を算定していた事業所が重度要介護者等対応要件を満たさなくなったが、人材要件のいずれかを満たすことから、(Ⅲ)の算定ができなくなった月から(Ⅱ)を算定しようとする場合も同様とする。
●特定事業所加算(Ⅰ)を取得していた事業所において、重度要介護者等要件が変動した場合
例)4月~6月の実績の平均 重度要介護者等割合 20%以上
5月~7月の実績の平均 重度要介護者等割合 20%以上
6月~8月の実績の平均 重度要介護者等割合 20%以上
7月~9月の実績の平均 重度要介護者等割合 20%未満
8月~10月の実績の平均 重度要介護者等割合 20%以上
①7~9月の実績の平均が20%を下回るケース・・・10月は要件を満たさない。このため10月は(Ⅰ)の算定はできないため、速やかに(Ⅱ)への変更届を行う。
②①の後、8~10月の実績の平均が20%を上回るケース・・・11月は(Ⅰ)の算定要件を満たした状態となるが、(Ⅰ)の算定開始日は届出後となるため、変更届を11月15日までに行えば、12月から(Ⅰ)の算定が可能となる。
(介護保険最新情報vol.79平成21年4月改定関係Q&A(vol.2)〔13〕)
- 訪問介護の特定事業所加算を取得すれば、利用者の自己負担も増加することになるが、加算を取得した上で、負担軽減のため、特定の利用者に対して加算を行わないという取扱いをすることは可能か。
- 加算を取得した上で、利用者間に加算の適否の差を付けることは、利用者間の不合理な負担の差を是認することにつながりかねないと考えられるので認められない。したがって、加算を取得するか、あるいは利用者の負担を考慮して取得しないかのどちらかを、あらかじめ各事業者が十分検討の上、選択する必要がある。
(介護制度改革information vol.80平成18年4月改定関係Q&A(vol.2)〔29〕)
- 特定事業所加算の人材要件のうちの訪問介護員等要件において、指定訪問介護事業所が障害者自立支援法における指定居宅介護等を併せて行っている場合の取扱いについて
- 人材要件のうち訪問介護員等要件における職員の割合の算出にあたっては、介護保険法におけるサービスに従事した時間により算出された常勤換算の結果を用いるものとする。したがって、障害者自立支援法における指定居宅介護等に従事した時間は含めない。
(介護保険最新情報vol.79平成21年4月改定関係Q&A(vol.2)〔12〕)
- 特定事業所加算(Ⅴ)を算定する利用者が、月の途中において、転居等により中山間地域等からそれ以外の地域(又はその逆)に居住地が変わった場合、実際に中山間地域等に居住している期間のサービス提供分のみ加算の対象となるのか。あるいは、当該月の全てのサービス提供分が加算の対象となるのか。
令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日) - 該当地域に居住する期間のサービス提供分のみ加算の対象となる。
新型コロナウィルス感染に係る例外
訪問介護の特定事業所加算等(※)の算定要件のひとつである「定期的な会議の開催やサービス提供前の文書による指示・サービス提供後の報告」について、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、電話、文書、メール、テレビ会議等の対面を伴わない代替手段をもって開催の扱いとすることは可能か。
可能である。「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」(令和2年2月17日付厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)において、「特定事業所加算の算定要件である定期的な会議の開催やサービス提供前の文書による指示・サービス提供後の報告について、今般の被災等により、やむを得ず当該要件を満たすことができなくなった場合についても、当該加算の算定は可能である。」としている。これには、感染拡大防止の観点からやむを得ない理由がある場合について、電話、文書、メール、テレビ会議等を活用するなどにより、柔軟に対応することも含まれるものである。※サービス提供体制強化加算や居宅介護支援の特定事業所加算の算定要件である定期的な会議の開催についても同様の取扱いとする。
特定事業所 加算(Ⅴ)の勤続年数要件(勤続年数が7年以上の訪問介護員等を 3 0以上とする要件)における具体的な割合はどのように算出するのか。
勤続年数要件の訪問介護員等の割合については、特定事業所加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の訪問介護員等要件(介護福祉士等の一定の資格を有する訪問介護員等の割合を要件)と同様に、前年度(3月を除く 11 ヶ月 間 。)又は届出日の属する月の前3月の1月当たりの実績の平均について、常勤換算方法により算出した数を用いて算出するものとする。
「訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が 30 %以上」という要件 について、勤続年数はどのように計算するのか。
・特定事業所加算(Ⅴ) における、勤続 年数7 年以上の 訪問介護員等 の割合に係る要件については、
-訪問介護員等として従事する者 であって、同一法人等での勤続年数が 7 年以上の者の割合を要件としたものであり、
-訪問介護員等として従事 してから 7 年以上経過していることを求めるものではないこと (例えば、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員 等として従事する前に、同一法人等の異なるサービスの施設・事業所 の介護職員として従事していた場合に勤続年数を通算して差し支えないものである。) 。
・「同一法人等での勤続年数」の考え方について、
-同一法人等(※)における 異なるサービスの事業所での勤続年数や異なる雇用形態、職種(直接処遇を行う職種に限る。)における勤続年数
-事業所の合併又は別法人による事業の承継の場合であって、当該 事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の勤続年数は通算することができる。(※)同一法人のほか、法人の代表者等が同一で、採用や人事異動、研修が一体として行われる等、職員の労務管理を複数法人で一体的に行っている場合も含まれる。
勤続年数に は 産 前産後 休 業 や病 気 休 暇 の 期間は含めないと考えるのか。
産前産後休業や病気休暇のほか、育児・介護休業、母性健康管理措置としての休業を取得した 期間 は雇用関係が継続していることから、勤続年数に含めることができる。
解釈通知など
8 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものつぃて都道府県知事に届け出た指定訪問介護事業所が、利用者に対し、指定訪問介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1回につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、特定事業所加算(Ⅲ)及び特定事業所加算(Ⅴ)を同時に算定する場合を除き、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
(1)特定事業所加算(Ⅰ) 所定単位数の100分の20に相当する単位数
(2)特定事業所加算(Ⅱ) 所定単位数の100分の10に相当する単位数
(3)特定事業所加算(Ⅲ) 所定単位数の100分の10に相当する単位数
(4)特定事業所加算(Ⅳ) 所定単位数の100分の5に相当する単位数
(5)特定事業所加算(Ⅴ) 所定単位数の100分の3に相当する単位数
イ 特定事業所加算(Ⅰ) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
(1) 指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等(登録型の訪問介護員等(あらかじめ当該指定訪問介護事業所に登録し、当該指定訪問介護事業所から指示があった場合に、直接、当該指示を受けた利用者の居宅を訪問し、指定訪問介護を行う訪問介護員等をいう。)を含む。以下同じ。)に対し、訪問介護員等ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い、研修(外部における研修を含む。)を実施又は実施を予定していること。
(2) 次に掲げる基準に従い、指定訪問介護が行われていること。
(一) 利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。
(二) 指定訪問介護の提供に当たっては、サービス提供責任者(指定居宅サービス等基準第五条第二項に規定するサービス提供責任者をいう。以下この号において同じ。)が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること。
(3) 当該指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施すること。
(4) 指定居宅サービス等基準第二十九条第六号に規定する緊急時等における対応方法が利用者に明示されていること。
(5) 当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等の総数のうち介護福祉士の占める割合が百分の三十以上又は介護福祉士、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)第四十条第二項第二号の指定を受けた学校又は養成施設において一月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を習得した者(以下「実務者研修修了者」という。)並びに介護保険法施行規則の一部を改正する省令(平成二十四年厚生労働省令第二十五号)による改正前の介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第二十二条の二十三第一項に規定する介護職員基礎研修課程を修了した者(以下「介護職員基礎研修課程修了者」という。)及び一級課程を修了した者(以下「一級課程修了者」という。)の占める割合が百分の五十以上であること。
(6) 当該指定訪問介護事業所の全てのサービス提供責任者が三年以上の実務経験を有する介護福祉士又は五年以上の実務経験を有する実務者研修修了者若しくは介護職員基礎研修課程修了者若しくは一級課程修了者であること。ただし、指定居宅サービス等基準第五条第二項の規定により一人を超えるサービス提供責任者を配置することとされている事業所においては、常勤のサービス提供責任者を二名以上配置していること。
(7) 前年度又は算定日が属する月の前三月間における利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護四及び要介護五である者、日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症(介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第五条の二第一項に規定する認知症をいう。)である者並びに社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和六十二年厚生省令第四十九号)第一条各号に掲げる行為を必要とする者(当該指定訪問介護事業所が社会福祉士及び介護福祉士法附則第二十条第一項の登録を受けている場合に限る。)の占める割合が百分の二十以上であること。
ロ 特定事業所加算(Ⅱ) イの(1)から(4)までに掲げる基準のいずれにも適合し、かつ、(5)又は(6)のいずれかに適合すること。
ハ 特定事業所加算(Ⅲ) イの(1)から(4)まで及び(7)に掲げる基準のいずれにも適合すること。
ニ 特定事業所加算(Ⅳ) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
(1) イの(2)から(4)までに掲げる基準のいずれにも適合すること。
(2) 指定訪問介護事業所の全てのサービス提供責任者に対し、サービス提供責任者ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い、研修(外部における研修を含む。)を実施又は実施を予定していること。
(3) 指定居宅サービス等基準第五条第二項の規定により配置することとされている常勤のサービス提供責任者が二人以下の指定訪問介護事業所であって、同項の規定により配置することとされているサービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、同項に規定する基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を一人以上配置していること。
(4) 前年度又は算定日が属する月の前三月間における利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護三、要介護四又は要介護五である者、日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症である者並びに社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第一条各号に掲げる行為を必要とする者の占める割合が百分の六十以上であること。
ホ 特定事業所加算(Ⅴ) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
(1) イの(1)~(4)までに掲げる基準のいずれにも適合すること。
(2) 指定訪問介護事業所の訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が百分の三十以上であること。
編集長
さく
介護事業所の請求や事務業務などに携わっています。