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この記事では個別機能訓練計画書の記載要領についてまとめていきます。
加算についての記事はこちらをご覧ください。
個別機能訓練加算とは?算定要件とポイントのまとめ!【令和6年度改定】「作成日」、「前回作成日」「初回作成日」、「氏名」、「介護度」などの欄
利用者の基本情報を記載します。利用者への聞き取りやケアマネジャーなどからの情報共有を受けた内容などを元に記載します。個別機能訓練に関する内容として、別紙様式3-1(興味・関心チェックシート)、別紙様式3-2(生活機能チェックシート)を活用することを推奨されています。
項目 | 内容 |
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作成日 | 計画書を作成した日付を記載します。 初回の作成の場合は、初回の利用日よりも前の日付を記載します。 |
前回作成日 | 前回計画書を作成した日付を記載します。 初回の場合は記載不要です。 |
初回作成日 | 初めて計画書を作成した日付を記載します。 |
氏名 | 利用者の氏名を記載します。 |
性別 | 利用者の性別を記載します。 |
生年月日 | 利用者の生年月日を記入記載ます。 |
要介護度 | 計画書の長期目標期間中の介護度を記載します。 申請中の場合は「申請中」と記入記載ます。 |
計画作成者・職種 | 計画の作成者名と職種を記載します。 |
障害高齢者の日常生活自立度 | 障害高齢者の日常生活自立度のランクを記載します。 |
認知症高齢者の日常生活自立 | 認知症高齢者の日常生活自立度のランクを記載します。 |
利用者の基本情報の欄
上の基本情報に加え、こちらも利用者への聞き取りやケアマネジャーなどからの情報共有を受けた内容などを元に記載します。ケアプラン等に記載が無い新しい情報を得た場合には、ケアマネジャーや他の利用事業所とも共有しましょう。
利用者の日常生活や社会生活等について、現在行っていることや今後行いたいこと(ニーズ・日常生活や社会生活等における役割)を把握する。これらを把握するにあたっては、別紙様式3-1(興味・関心チェックシート)を活用すること。またあわせて、利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割に対する家族の希望を把握して記載します。
利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を居宅訪問の上 で確認する。具体的には、別紙様式3-2の生活機能チェックシート を活用し以下を実施する。 ⅰ 利用者の居宅の環境(居宅での生活において使用している福祉 用具・補助具等を含む)を確認する。 ⅱ ADL、IADL項目について、居宅の環境下での自立レベル や実施するにあたっての課題を把握して記載します。
項目 | 内容 |
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利用者本人の希望 | サービス利用開始前に、本人の希望や要望を確認し記載します。 |
家族の希望 | サービス利用開始前に、家族の希望や要望を確認し記載します。 |
利用者本人の社会参加の状況 | 利用者の性格や家庭での役割、交流関係について記載します。 |
利用者の居宅の環境 | 利用者がどのような居宅環境で生活を送っているのかを記載します。 ※普段生活している部屋、や手すり・段差などの情報も記載します。 |
健康状態・経過の欄
利用者の健康状態・経過などを記載します。必要に応じて医師又は歯科医師から、これまでの利用者に対する病名、治療経過、合併疾患、個別機能訓練実施上の留意事項についての情報を得る。直接医師又は歯科医師から情報が得られない場合は、介護支援専門員を通じて情報収集を図り記載します。
項目 | 内容 |
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病名 | 個別機能訓練を受ける主要因となっている病名を記載し、その病名に関係する入院日や退院日などを記載します。 |
治療経過 | 上で記載した病名に関する病状の経過を記載します。手術を行っている場合は手術日や術式も記載します。 |
合併疾患・コントロール状態 | 上で記載した病名以外の持病などを記載します。 |
機能訓練実施上の留意事項 | 上記の病状や経過も踏まえながら、機能訓練を実施する際の留意事項や運動負荷などを記載します。 |
個別機能訓練の目標・個別機能訓練項目の設定の欄
利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割及び心身の状態に応じ、機能訓練指導員等が協働し、利用者又は家族の意向及び利用者を担当する介護支援専門員の意見も踏まえつつ、個別機能訓練目標を設定します。なお、目標設定にあたっては、当該利用者の意欲の向上に繋がるよう、長期目標・短期目標のように段階的な目標設定をするなど、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標を記載します。
項目 | 内容 |
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機能 | 体の働きや精神の働きに関する目標を記載します。 |
活動 | 生活行為全般の活動に関する目標を記載します。 |
参加 | 家庭や社会で役割を果たすことに関する目標を記載します。 |
目標達成度 | 短期目標は3ヶ月後、長期目標は設定した期間後(概ね6ヶ月後)に記載します。 |
機能訓練と言っても、身体的機能だけを目標に含めるのではなく、利用者の生活や社会活動などに関する目標も設定します。
長期目標は生活機能の構成要素である下の3つをバランスよく含めて設定することが求められます。
- 体の働きや精神の働きである「心身機能」
- ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」
- 家庭や社会で役割を果たすことである「参加」
具体的には、利用者が住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることができるよう、単に座る・立つ・歩くといった身体機能の向上を目指すことのみを目標とするのではなく、居宅における生活行為(トイレに行く、自宅の風呂に一人で入る、料理を作る、掃除・洗濯をする等)や地域における社会的関係の維持に関する行為(商店街に買い物に行く、囲碁教室に行く、孫とメールの交換をする、インターネットで手続きをする等)など、具体的な生活上の行為の達成を含めた目標を設定します。
長期目標を設定した後は、目標を達成するために必要な行為ごとに細分化し、短期目標として整理します。
(例)長期目標が「スーパーマーケットに食材を買いに行く」の場合必要な内容を紹介します。
- 買いたい物を書き記したリストを作る
- 買い物量を想定し、マイバッグを用意する
- スーパーマーケットまでの道順を確認する
- スーパーマーケットまで歩いて行く
- スーパーマーケットの入り口で買い物かごを持つ
- スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける
- 食材を買い物かごに入れる
- レジで支払いをする
- 買った品物を袋に入れる
- 買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る
個別機能訓練項目の欄
項目 | 内容 |
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プログラム内容 | プログラムの内容を具体的に記載します。 |
留意点 | プログラムを実施する際の留意点を記載します。 |
頻度 | 頻度を記載します。 |
時間 | プログラムを実施する時間を分単位で記載します。 |
主な実施者 | プログラムを実施する主な担当者を記載します。 |
プログラム立案者 | プログラム立案者の名前を記載します。 |
利用者本人・家族等がサービス利用時間以外に実施すること | 居宅等での実施内容について記載します。 |
特記事項 | 上記以外の内容で記載すべき内容があれば記載します。 |
プログラム内容は「◯◯のために△△する」と言ったように、「目的」と「訓練内容」を記載します。
長期目標・短期目標で設定した目標、利用者の健康状態・身体機能を踏まえて目標を設定していきます。短期目標を達成するために必要な行為のうち、利用者の現状の心身機能に照らし可能であること、困難であることを整理し、困難であることについて、「どのような訓練を行えば可能となるか」検討し記載します。
例として歩行機能が低下していることから、「スーパーマーケットまで歩いて行く」「スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける」「買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る」ことが困難である場合を紹介します。
- 歩行機能を向上させる訓練(筋力向上訓練、耐久性訓練、屋内外歩行訓練等)
- 歩行を助ける福祉用具(つえ等)を使用する訓練
- 歩行機能の向上が難しい場合、代替的な移動手段となりうる福祉用具(電動車いす等)を使用する訓練
また、訓練項目は複数種類を準備し、内容の決定は利用者の生活意欲の向上に繋がるよう利用者を援助します。訓練内容は通所介護の提供中のみでなく、利用者自身が日々の生活においてもできるかぎり自主訓練を行うことが重要です。訓練内容は利用者が居宅等でも実施できるような訓練内容を考え提供することが望ましいとされています。
個別機能訓練の目的を達成するには、生活機能の維持・向上を図ることから、計画的・継続的に訓練を実施する必要があります。概ね週1回以上の実施が望ましいとされています。
最低限必要な時間などは定められていません。目標や利用者の状態、訓練内容などを考慮し適切に設定します。
個別機能訓練実施後の対応の欄
個別機能訓練の目的に照らし、個別機能訓練項目や訓練実施時間が適 切であったか、個別機能訓練の効果(例えば当該利用者のADL及びI ADLの改善状況)が現れているか等について、評価を行います。3月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問し、利用者の居宅での生活 状況(起居動作、ADL、IADL等の状況)を確認する。また、利用 者又はその家族に対して個別機能訓練の実施状況や個別機能訓練の効 果等について説明し、記録します。
なお、個別機能訓練の実施状況や個別 37 機能訓練の効果等についての説明・記録は、利用者の居宅を訪問する日 とは別の日にICT等を活用し行っても差し支えありません。概ね3月ごとに1回以上、個別機能訓練の実施状況や個別機能訓練の 効果等について、当該利用者を担当する介護支援専門員等にも適宜報告・相談し、利用者又はその家族の意向を確認の上、利用者に対す る個別機能訓練の効果等をふまえた個別機能訓練の目標の見直しや訓 練項目の変更を行う。 等、適切な対応を行います。
項目 | 内容 |
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個別機能訓練の実施による変化 | 訓練実施後の変化を具体的に記載します。 |
個別機能訓練実施における課題とその要因 | 訓練実施後の課題や要因について具体的に記載します。 |
個別機能訓練計画書のサインは不要?
令和3年度介護報酬改定において、「書面で説明、同意等を行うものについて、電磁的記録による対応を原則認めること」とし、さらに「利用者等の署名・押印について、求めないことが可能であること及びその場合の代替手段を明示するとともに、様式例から押印欄を削除する」との改正を行いました。
つまり「サイン以外の電子的な方法での署名を認める」ということで、「サインや捺印が無くとも良い」とされました。
サイン以外の電子署名としてはクラウドの電子署名サービスを利用することが一般的でおすすめです。電子署名に関する要件や詳細、おすすめのクラウドサービスはこちらの記事で詳しく解説していますので、読んでみてください。
【保存版】介護施設などで電子署名・電子契約を利用する要件やデメリットなどまとめ個別機能訓練計画書はケアマネへ提出が必要?
A.必要です。
令和3年3月16日に発出された「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」において、「 介護支援専門員への報告 介護支援専門員に対し、個別機能訓練計画を交付(電磁的記録の提供 を含む)の上、利用者又はその家族への説明を行い、内容に同意を得た 旨報告すること。」とされました。
計画書を作成、利用者や家族への同意を得た際には利用者の担当ケアマネジャーへ報告が必要です。
個別機能訓練計画書の作成者について
令和3年3月16日に発出された「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」において、「利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割及び心身の状態に応じ、機能訓練指導員等が多職種協働で個別機能訓練計画を作成する。その際、必要に応じ各事業所に配置する機能訓練指導員等以外の職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士等)からも助言を受けることが望ましい。」とされました。
平成27年3月27日に発出された情報では、「個別機能訓練は、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師。以下同じ。)、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職の者(以下「機能訓練指導員等」という。)が共同して、利用者ごとにその目標、実施時間、実施方法等を内容とする個別機能訓練計画を作成し行うものである。」とされています。
「共同して作成する」から、「機能訓練指導員等が作成する」へ変更がされています。
複数職種からの助言についても「助言を受けることが望ましい」とされているため、令和3年度以降は複数職種の担当者名の記入欄が廃止されています。
令和3年度改定以降は作成者は機能訓練指導員で概ね問題ないとされています。
短期入所の個別機能訓練加算の計画書は同じ?
短期入所での個別機能訓練加算は要件や単位数が異なっていますが、位置づけは同じものになりますので、計画書も同じものを使って差し支えありません。
様式ダウンロード・厚生労働省の法令通知など
・リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について
・別紙様式3-1(興味・関心チェックシート)(Word)
・別紙様式3-2(生活機能チェックシート)(Word)
・別紙様式3-3(個別機能訓練計画書)(Excel)
編集長
さく
介護事業所の請求や事務業務などに携わっています。