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令和8年度介護報酬改定は、令和9年度本改定前の期中改定です。今回、実務上とくに影響が大きいのは、介護職員等処遇改善加算の拡充と、施設・短期入所系における食費の見直しです。
この記事では、令和6年度との違いを中心に、対象サービス、加算率、届出・周知で確認すべき点を整理します。なお、全サービスの基本報酬単位を網羅比較する記事ではありません。
あなたの事業所はどこを見るべきか
- 訪問介護、通所介護、施設系など、すでに処遇改善加算を算定している事業所は「既存の処遇改善加算対象サービス」を確認してください。
- 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援・介護予防支援は「新たに処遇改善加算の対象となったサービス」を確認してください。
- 特養、老健、介護医療院、短期入所などで料金説明が必要な事業所は「施設・短期入所系の食費見直し」を確認してください。
- 福祉用具貸与、特定福祉用具販売、居宅療養管理指導は「引き続き処遇改善加算の対象外として整理されるサービス」を確認してください。
この記事で分かること
- 令和8年度で処遇改善加算率がどう見直されたか
- 新たに対象となったサービスと、引き続き対象外のサービスの整理
- 施設・短期入所系で食費の扱いがどう変わるか
- 今週やるべき確認、提出、周知の順番
まず押さえたい結論
- 令和8年度改定の中心は、介護職員等処遇改善加算の拡充と、施設・短期入所系の食費見直しです。
- 既存の処遇改善加算対象サービスでは、加算率が引き上げられ、令和8では区分として「Ⅰロ」「Ⅱロ」が追加されています。
- 新たに処遇改善加算の対象になったのは、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援・介護予防支援です。
- 居宅療養管理指導、福祉用具貸与、特定福祉用具販売は、令和8年6月以降も処遇改善加算の対象外として整理されます。
- 食費の基準費用額見直しは2026年8月からで、基準費用額は1,445円から1,545円へ引き上げられます。
- この記事の比較対象は、処遇改善の加算率と食費の額です。基本報酬単位の全面比較ではありません。
※ 2026年4月15日と2026年6月15日は主に処遇改善計画書の提出期限です。体制届は原則の期限が別で、実際の取扱いは自治体案内を必ず確認してください。2026年4月18日現在、4月15日を過ぎているため、4月・5月分から算定したい場合は自治体確認が必要です。
あなたの事業所はどこを見るべきか
- 既存の処遇改善加算対象サービス: 現在の算定区分を維持するか、令和8の上位区分へ見直すかを確認します。
- 新規対象サービス: 初回の計画書と体制届が必要になるため、訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援はここを優先確認します。
- 施設・短期入所系: 食費の基準費用額と負担限度額の見直しが、料金表や利用者説明に影響します。
- 引き続き対象外のサービス: 対象拡大の前提で届出を出さず、自治体通知や追加Q&Aの確認を優先します。
まずは、自事業所がどの区分に入るかを切り分けるだけで、読むべき表と実務対応がかなり絞れます。特に、すでに処遇改善加算を算定している事業所と、令和8年度から初めて対象になる事業所では、確認すべき資料と提出の重さが異なります。
改定通知・比較元資料
比較の基準にした主な資料は、次の厚生労働省資料です。
- 令和8年度介護報酬改定について
- 「処遇改善加算」の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります
- 令和8年度介護報酬改定の概要
- 介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について
- 令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)
- 介護保険最新情報 Vol.1469
- 指定居宅サービス等の留意事項通知
- 指定介護予防サービスの留意事項通知
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について
- (参考:改正後全文)介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について
- 別紙様式
- (別紙1)表1〜表4
- (別紙様式2)処遇改善計画書(令和8年度) / 【2000行】版 / 記入例
- (別紙様式3)実績報告書(令和8年度) / 【2000行】版 / 記入例
- (別紙様式4)変更に係る届出書
- (別紙様式5)特別な事情に係る届出書
- 処遇改善制度トップページ / 申請方法 / FAQ
事業種別ごとの変更一覧
以下の表は、令和6年改正と令和8年改正を比較したものです。処遇改善は加算率の比較、食費は額の比較です。基本報酬単位の増減を網羅した表ではありません。
既存対象サービスでは、全体として加算率が引き上げられ、令和8では「Ⅰロ」「Ⅱロ」が追加されています。差分欄は、Ⅰイ/Ⅰロは令和6加算Ⅰ比、Ⅱイ/Ⅱロは加算Ⅱ比、Ⅲは加算Ⅲ比、Ⅳは加算Ⅳ比で計算しています。
| 事業種別 | 令和6(加算Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ) | 令和8(Ⅰイ/Ⅰロ/Ⅱイ/Ⅱロ/Ⅲ/Ⅳ) | 差分 |
|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 24.5% / 22.4% / 18.2% / 14.5% | 27.0% / 28.7% / 24.9% / 26.6% / 20.7% / 17.0% | Ⅰイ +2.5pt / Ⅰロ +4.2pt / Ⅱイ +2.5pt / Ⅱロ +4.2pt / Ⅲ +2.5pt / Ⅳ +2.5pt |
| 夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 24.5% / 22.4% / 18.2% / 14.5% | 26.7% / 27.8% / 24.6% / 25.7% / 20.4% / 16.7% | Ⅰイ +2.2pt / Ⅰロ +3.3pt / Ⅱイ +2.2pt / Ⅱロ +3.3pt / Ⅲ +2.2pt / Ⅳ +2.2pt |
| 訪問入浴介護(介護予防含む) | 10.0% / 9.4% / 7.9% / 6.3% | 12.2% / 13.3% / 11.6% / 12.7% / 10.1% / 8.5% | Ⅰイ +2.2pt / Ⅰロ +3.3pt / Ⅱイ +2.2pt / Ⅱロ +3.3pt / Ⅲ +2.2pt / Ⅳ +2.2pt |
| 通所介護 | 9.2% / 9.0% / 8.0% / 6.4% | 11.1% / 12.0% / 10.9% / 11.8% / 9.9% / 8.3% | Ⅰイ +1.9pt / Ⅰロ +2.8pt / Ⅱイ +1.9pt / Ⅱロ +2.8pt / Ⅲ +1.9pt / Ⅳ +1.9pt |
| 地域密着型通所介護 | 9.2% / 9.0% / 8.0% / 6.4% | 11.7% / 12.7% / 11.5% / 12.5% / 10.5% / 8.9% | Ⅰイ +2.5pt / Ⅰロ +3.5pt / Ⅱイ +2.5pt / Ⅱロ +3.5pt / Ⅲ +2.5pt / Ⅳ +2.5pt |
| 通所リハビリテーション(介護予防含む) | 8.6% / 8.3% / 6.6% / 5.3% | 10.3% / 11.1% / 10.0% / 10.8% / 8.3% / 7.0% | Ⅰイ +1.7pt / Ⅰロ +2.5pt / Ⅱイ +1.7pt / Ⅱロ +2.5pt / Ⅲ +1.7pt / Ⅳ +1.7pt |
| 特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護(介護予防含む) | 12.8% / 12.2% / 11.0% / 8.8% | 14.8% / 15.9% / 14.2% / 15.3% / 13.0% / 10.8% | Ⅰイ +2.0pt / Ⅰロ +3.1pt / Ⅱイ +2.0pt / Ⅱロ +3.1pt / Ⅲ +2.0pt / Ⅳ +2.0pt |
| 事業種別 | 令和6(加算Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ) | 令和8(Ⅰイ/Ⅰロ/Ⅱイ/Ⅱロ/Ⅲ/Ⅳ) | 差分 |
|---|---|---|---|
| 認知症対応型通所介護(介護予防含む) | 18.1% / 17.4% / 15.0% / 12.2% | 21.6% / 23.6% / 20.9% / 22.9% / 18.5% / 15.7% | Ⅰイ +3.5pt / Ⅰロ +5.5pt / Ⅱイ +3.5pt / Ⅱロ +5.5pt / Ⅲ +3.5pt / Ⅳ +3.5pt |
| 小規模多機能型居宅介護(介護予防含む) | 14.9% / 14.6% / 13.4% / 10.6% | 17.1% / 18.6% / 16.8% / 18.3% / 15.6% / 12.8% | Ⅰイ +2.2pt / Ⅰロ +3.7pt / Ⅱイ +2.2pt / Ⅱロ +3.7pt / Ⅲ +2.2pt / Ⅳ +2.2pt |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 14.9% / 14.6% / 13.4% / 10.6% | 16.8% / 17.7% / 16.5% / 17.4% / 15.3% / 12.5% | Ⅰイ +1.9pt / Ⅰロ +2.8pt / Ⅱイ +1.9pt / Ⅱロ +2.8pt / Ⅲ +1.9pt / Ⅳ +1.9pt |
| 認知症対応型共同生活介護(介護予防含む) | 18.6% / 17.8% / 15.5% / 12.5% | 21.0% / 22.8% / 20.2% / 22.0% / 17.9% / 14.9% | Ⅰイ +2.4pt / Ⅰロ +4.2pt / Ⅱイ +2.4pt / Ⅱロ +4.2pt / Ⅲ +2.4pt / Ⅳ +2.4pt |
| 介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・短期入所生活介護(介護予防含む) | 14.0% / 13.6% / 11.3% / 9.0% | 16.3% / 17.6% / 15.9% / 17.2% / 13.6% / 11.3% | Ⅰイ +2.3pt / Ⅰロ +3.6pt / Ⅱイ +2.3pt / Ⅱロ +3.6pt / Ⅲ +2.3pt / Ⅳ +2.3pt |
| 介護老人保健施設・短期入所療養介護(老健)(介護予防含む) | 7.5% / 7.1% / 5.4% / 4.4% | 9.0% / 9.7% / 8.6% / 9.3% / 6.9% / 5.9% | Ⅰイ +1.5pt / Ⅰロ +2.2pt / Ⅱイ +1.5pt / Ⅱロ +2.2pt / Ⅲ +1.5pt / Ⅳ +1.5pt |
| 介護医療院・短期入所療養介護(医療院/病院等)(介護予防含む) | 5.1% / 4.7% / 3.6% / 2.9% | 6.2% / 6.6% / 5.8% / 6.2% / 4.7% / 4.0% | Ⅰイ +1.1pt / Ⅰロ +1.5pt / Ⅱイ +1.1pt / Ⅱロ +1.5pt / Ⅲ +1.1pt / Ⅳ +1.1pt |
※ 令和6の公式資料では、訪問介護と夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護、通所介護と地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護が同一類型で示されています。本記事では比較の便宜上、同じ令和6率を掲載しています。
施設サービス等の令和8年度特例要件では、生産性向上推進体制加算Ⅰ・Ⅱや協働化、社会福祉連携推進法人への参画などが実務上の確認ポイントです。訪問・通所系では、ケアプランデータ連携システムの利用等が特例要件として示されています。
令和8年度では、これまで対象外だった一部サービスにも処遇改善加算が広がりました。新規対象サービスは、初回届出の有無と算定要件の理解が特に重要です。
| 事業種別 | 令和6 | 令和8 | 変更点 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護(介護予防含む) | なし | 1.8% | 令和8で新たに処遇改善加算の対象に追加。 |
| 訪問リハビリテーション(介護予防含む) | なし | 1.5% | 令和8で新規対象化。 |
| 居宅介護支援・介護予防支援 | なし | 2.1% | ケアマネ事業所に初めて処遇改善加算が導入。 |
新規対象サービスは、加算Ⅳに準ずる要件または令和8年度特例要件で算定可能とされており、申請時点では年度内対応の誓約でも可とされています。
※ 2026年4月15日と2026年6月15日は主に処遇改善計画書の提出期限です。体制届は原則の期限が別で、実際の取扱いは自治体案内を必ず確認してください。2026年4月18日現在、4月15日を過ぎているため、4月・5月分から算定したい場合は自治体の取扱い確認が必要です。
居宅療養管理指導、福祉用具貸与、特定福祉用具販売は引き続き処遇改善加算の対象外となります。
施設・短期入所系では、2026年8月から食費の基準費用額と一部の負担限度額が見直されます。これは基本報酬単位の改定ではなく、料金表、重要事項説明書、請求設定、利用者案内に影響する見直しです。
| 項目 | 令和8年7月まで | 令和8年8月から | 変化 |
|---|---|---|---|
| 基準費用額(食費) | 1,445円 | 1,545円 | 100円/日の引上げ |
| 第1段階 | 300円 | 300円 | 据置 |
| 第2段階 | 390円 | 390円 | 据置 |
| 第3段階① | 650円 | 680円 | 30円/日の引上げ |
| 第3段階② | 1,360円 | 1,420円 | 60円/日の引上げ |
| 第4段階 | 契約ベース | 契約ベース | 全額自己負担の考え方は維持 |
対象となるのは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、短期入所生活介護、短期入所療養介護など、食費と補足給付の運用があるサービスです。8月適用前に、料金表、重要事項説明書、請求システム、利用者通知文の4点をそろえて確認しておくと運用が安定します。
事業所が今やること
今すぐ確認
- 既存の処遇改善加算対象サービス: 現在の算定区分、令和8の新しい加算率、Ⅰロ・Ⅱロの取得可能性を確認します。
- 新規対象サービス: 訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援・介護予防支援が自事業所で算定対象になるかを確認します。
- 施設・短期入所系: 2026年8月からの食費基準費用額、負担限度額、利用者ごとの段階判定を確認します。
- 対象外・深掘り外のサービス: 現行運用を前提に、自治体通知や追加Q&Aの有無だけを先に確認します。
提出前に確認
- 処遇改善計画書、体制届、必要に応じた変更届の様式をそろえます。
- 2026年4月15日と2026年6月15日は主に処遇改善計画書の提出期限であり、体制届は原則の期限が別だと理解したうえで自治体案内を確認します。
- 新規対象サービスでは、誓約で足りる範囲と年度内対応で求められる要件を確認します。
利用者・職員への周知
- 職員向けには、介護従事者まで対象が広がること、賃金配分方針、実績報告までの流れを共有します。
- 利用者・家族向けには、食費改定の対象、差額、適用開始日を事前に案内します。
- 対象外サービスでは、現時点で公式に確認できる範囲だけを伝え、追加通知が出たら再確認する運用にします。
※「内容が違う」など、記載内容に間違いがありましたら『記事修正リクエスト』よりご連絡ください。
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編集長
さく
介護事業所の請求や事務業務などに携わっています。

