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身体拘束廃止未実施減算の概要
身体拘束廃止未実施減算は、入居系介護サービスにおいて身体拘束の適正化に関する運営基準を満たしていない場合に適用される減算措置です。具体的には、身体拘束の態様や時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由の記録義務や、身体拘束の適正化を図るための委員会開催、指針整備、研修実施などの基準を遵守しない場合に算定されます。
実務フロー例
- 運営基準の理解と周知
- 身体拘束の記録管理体制の整備
- 適正化委員会の定期開催
- 指針の策定と周知
- 研修の計画・実施
- 遵守状況のモニタリングと改善
- 減算対象事実の発生時の対応と報告
身体拘束廃止未実施減算の対象事業者
身体拘束廃止未実施減算の対象となる事業者は、以下の入居系介護サービスを提供する施設等です。
- 特定施設入居者生活介護
- 介護保健施設(介護老人保健施設)
- 介護福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護療養施設
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 介護医療院
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
身体拘束廃止未実施減算の算定要件は?
身体拘束廃止未実施減算の算定要件は、以下のいずれかの基準を満たしていない場合に該当します。
- 身体的拘束等を行う場合、その態様及び時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録していない。
- 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催していない。
- 身体的拘束等の適正化を図るための措置(指針の整備、研修の定期実施など)を講じていない。
- 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護従業者その他の従業者に周知徹底を図ること。
- 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
- 介護従業者その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
【要点】これらの基準は運営基準として義務付けられており、いずれか一つでも欠けると減算対象となります。
- 身体拘束の記録が漏れなく行われているか
- 適正化委員会が定期的に開催されているか
- 身体拘束適正化の指針が整備されているか
- 介護職員等に対する研修が定期的に実施されているか
記録が不十分で、拘束の理由や時間が明確でないケース
委員会開催が2ヶ月に1回しか行われていないケース
指針が古く、最新の法令改正に対応していないケース
研修が年1回未満で実施されているケース
- 身体拘束が行われていなければ記録不要と誤解しがちですが、記録義務は身体拘束を行った場合に限られます。
- 委員会は必ず対面で開催しなければならないと誤解されますが、テレビ電話装置等の活用も認められています。
身体拘束廃止未実施減算の減算単位
身体拘束廃止未実施減算は、所定単位数の100分の10(10%)を減算します。減算は、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間、利用者全員に対して適用されます。
事実が生じた月から3ヶ月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事に報告することが求められています。改善報告が認められるまでの期間、減算が継続されるため、速やかな対応が重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減算率 | 所定単位数の10% |
| 減算対象期間 | 事実発生翌月から改善認定月まで |
| 報告義務 | 3ヶ月後に改善計画の報告を都道府県知事へ |
身体拘束廃止未実施減算の解釈通知など
身体拘束廃止未実施減算に関する解釈通知や基準は、各サービス種別ごとに厚生労働省から定められています。以下に代表的なサービスごとの基準概要を示します。
4 イについて、別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、身体拘束廃止未実施減算として、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
特定施設入居者生活介護費における身体拘束廃止未実施減算の基準
指定居宅サービス等基準第百八十三条第五項及び第六項に規定する基準に適合していること。
5 指定特定施設入居者生活介護事業者は、前項の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
6 指定特定施設入居者生活介護事業者は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
二 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
3 別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、身体拘束廃止未実施減算として、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
介護保健施設サービスにおける身体拘束廃止未実施減算の基準
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成十一年厚生省令第四十号。以下「介護老人保健施設基準」という。)第十三条第五項及び第六項又は第四十三条第七項及び第八項に規定する基準に適合していること。
5 介護老人保健施設は、前項の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
6 介護老人保健施設は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
4 別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、身体拘束廃止未実施減算として、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
介護福祉施設サービスにおける身体拘束廃止未実施減算の基準
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十九号。以下「指定介護老人福祉施設基準」という。)第十一条第五項及び第六項又は第四十二条第七項及び第八項に規定する基準に適合していること。
5 指定介護老人福祉施設は、前項の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
6 指定介護老人福祉施設は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
4 別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、身体拘束廃止未実施減算として、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
九十五 介護療養施設サービスにおける身体拘束廃止未実施減算の基準
健康保険法等の一部を改正する法律附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第四十一号。以下「指定介護療養型医療施設基準」という。)第十四条第五項及び第六項又は第四十三条第七項及び第八項に規定する基準に適合している
第十四条
5 指定介護療養型医療施設は、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入院患者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
6 指定介護療養型医療施設は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
二 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
第四十三条
7 ユニット型指定介護療養型医療施設は、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入院患者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
8 ユニット型指定介護療養型医療施設は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
二 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
2 イについて、別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、身体拘束廃止未実施減算として、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
認知症対応型共同生活介護費における身体拘束廃止未実施減算の基準
指定地域密着型サービス基準第九十七条第六項及び第七項に規定する基準に適合していること。
6 指定認知症対応型共同生活介護事業者は、前項の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
7 指定認知症対応型共同生活介護事業者は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護従業者その他の従業者に周知徹底を図ること。
二 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 介護従業者その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
4 別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、身体拘束廃止未実施減算として、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
介護医療院サービスにおける身体拘束廃止未実施減算の基準
介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成三十年厚生労働省令第五号。以下「介護医療院基準」という。)第十六条第五項及び第六項並びに第四十七条第七項及び第八項に規定する基準に適合していること。
5 介護医療院は、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
6 介護医療院は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
二 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
よくある質問(FAQ)
Q1. 身体拘束廃止未実施減算とは何ですか?
身体拘束廃止未実施減算は、入居系介護サービスにおいて身体拘束の適正化に関する運営基準を満たしていない場合に適用される減算措置で、所定単位数の10%が減算されます。
Q2. 身体拘束廃止未実施減算の対象となる事業者はどこですか?
特定施設入居者生活介護、介護保健施設、介護福祉施設、介護療養施設、認知症対応型共同生活介護、介護医療院、短期入所生活介護(ショートステイ)を提供する施設等が対象です。
Q3. 身体拘束廃止未実施減算の算定要件は何ですか?
以下のいずれかの基準を満たしていない場合に該当します。①身体拘束の態様や時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由の記録がない、②適正化委員会を3月に1回以上開催していない、③指針の整備や研修の定期実施がされていない。
Q4. 身体拘束の記録はどのように行うべきですか?
身体拘束を行った場合、その態様、時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を漏れなく正確に記録する必要があります。
Q5. 適正化委員会の開催頻度はどのくらいですか?
適正化委員会は3ヶ月に1回以上の開催が義務付けられており、テレビ電話装置等の情報通信機器を活用した開催も認められています。
Q6. 減算はどの期間に適用されますか?
減算は事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間、利用者全員に対して適用されます。
Q7. 改善計画の提出や報告はどのように行いますか?
事実が生じた月から3ヶ月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事に報告する必要があります。詳細な手順については最新の厚生労働省通知等で要確認です。
Q8. 身体拘束の定義や適正化委員会の具体的な構成はどうなっていますか?
身体拘束は利用者の身体の自由を制限する行為を指しますが、具体的な定義や適正化委員会の構成・運営方法は自治体や施設によって異なる場合があるため、詳細は要確認です。
Q9. 身体拘束が行われていない場合でも記録は必要ですか?
身体拘束が行われていなければ記録は不要ですが、身体拘束を行った場合には必ず記録義務があります。
Q10. 減算対象となった場合、現場や請求担当はどのように対応すればよいですか?
現場は改善計画に基づく業務改善と記録管理を徹底し、請求担当は減算期間の請求単位を正確に把握して減算漏れを防止する必要があります。

編集長
さく
介護事業所の請求や事務業務などに携わっています。

