この記事はで読むことができます。
スポンサーリンク
退院支援指導加算とは、医療保険の訪問看護において、保険医療機関から退院する利用者に対し、訪問看護ステーションの看護師等が退院日当日に在宅での療養上必要な指導を行った場合に算定できる加算です。
退院直後は、服薬管理、医療機器の取扱い、点滴・カテーテル・酸素療法・吸引などの医療的ケア、家族の介護方法、急変時の連絡先などを確認する重要なタイミングです。特に医療ニーズが高い利用者では、退院日当日の支援が、その後の在宅療養の安定につながります。
退院支援指導加算は、通常は6,000円、長時間の療養上必要な指導を行った場合は8,400円です。訪問看護ステーションの看護師等、准看護師を除く職員が、退院日に保険医療機関以外で療養上必要な指導を行った場合に、退院日の翌日以降、初日の指定訪問看護が行われた際に加算します。退院後の初回訪問前に死亡または再入院した場合は、死亡日または再入院日に算定できます。
退院支援指導加算の要点
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象制度 | 医療保険の訪問看護 |
| 対象事業者 | 訪問看護ステーション |
| 実施者 | 看護師等。准看護師は除く |
| 実施日 | 退院日当日 |
| 実施場所 | 退院する保険医療機関以外 |
| 算定額 | 6,000円 |
| 長時間の場合 | 8,400円 |
| 算定タイミング | 退院日の翌日以降、初日の指定訪問看護が行われた際 |
| 例外 | 初回訪問前に死亡・再入院した場合は、その死亡日・再入院日に算定 |
| 重要な確認 | 対象者要件、訪問看護指示書、退院日当日の指導内容、記録 |
この加算は、退院日前のカンファレンスや病院職員との共同指導を評価するものではありません。退院日当日に、訪問看護ステーション側が在宅療養上必要な指導を行うことが中心です。
退院支援指導加算の対象者
退院支援指導加算の対象は、退院日に療養上の退院支援指導が必要な利用者で、次のいずれかに該当する人です。
| 対象者区分 | 内容 |
|---|---|
| 別表第七に掲げる疾病等の者 | 末期の悪性腫瘍、神経難病、人工呼吸器を使用している状態など |
| 別表第八に掲げる者 | 気管カニューレ、留置カテーテル、在宅酸素、中心静脈栄養、褥瘡など医療的管理が必要な状態 |
| 退院日の訪問看護が必要と認められた者 | 退院日当日に訪問看護による支援が必要と判断された者 |
厚生労働省告示では、退院支援指導加算に係る「退院支援指導を要する者」として、退院日に療養上の退院支援指導が必要な利用者で、別表第七に掲げる疾病等の者、別表第八に掲げる者、退院日の訪問看護が必要であると認められた者が示されています。
退院支援指導加算の対象事業者
訪問看護(医療)
退院支援指導加算の算定要件は?
- 退院支援指導を要する者に対して行うこと。
- 訪問看護指示書の交付を受けていること。
- 医療機関から退院するに当たって、看護師等(准看護師を除く。)が、退院日に医療機関以外において療養上必要な指導を行うこと。(長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合にあっては、1回の退院支援指導の時間が 90 分を超えた場合又は複数回の退院支援指導の合計時間が 90 分を超えた場合に限る。)
- 1人の利用者に対し、1つの訪問看護ステーションにおいてのみ算定できるものである。ただし、当該利用者が入院する保険医療機関の看護師等が行う退院日の訪問指導とは、併算定可。
- 内容を訪問看護記録書に記録すること。
八 訪問看護管理療養費の注7に規定する退院支援指導加算に係る厚生労働大臣が定める退院支援指導を要する者
退院日に療養上の退院支援指導が必要な利用者であって、次のいずれかに該当するもの
(1) 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者
(2) 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
(3) 退院日の訪問看護が必要であると認められた者
イ 十五歳未満の超重症児又は準超重症児
ロ 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
ハ 特別訪問看護指示書又は精神科特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
退院支援指導加算の算定額
| 区分 | 算定額 | 内容 |
|---|---|---|
| 通常の退院支援指導加算 | 6,000円 | 退院日に在宅療養上必要な指導を行った場合 |
| 長時間の退院支援指導加算 | 8,400円 | 長時間の訪問を要する者に対し、長時間にわたる療養上必要な指導を行った場合 |
令和6年度診療報酬改定では、長時間の退院支援指導について、1回の退院支援指導が90分を超えた場合だけでなく、複数回の退院支援指導の合計時間が90分を超えた場合も対象となるよう見直されました。
8,400円の対象となる「長時間の訪問を要する者」
8,400円の長時間区分は、すべての利用者に適用されるわけではありません。対象は、厚生労働大臣が定める「長時間の訪問を要する者」に該当する利用者です。
| 対象者 | 内容 |
|---|---|
| 15歳未満の超重症児または準超重症児 | 医療的ケアや観察に長時間を要する小児 |
| 別表第八に掲げる者 | 気管カニューレ、留置カテーテル、在宅酸素、人工呼吸器、中心静脈栄養など |
| 特別訪問看護指示書または精神科特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者 | 急性増悪等により集中的な訪問看護が必要な者 |
厚生労働省告示では、長時間訪問看護加算等に係る「長時間の訪問を要する者」として、15歳未満の超重症児または準超重症児、別表第八に掲げる者、特別訪問看護指示書または精神科特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者が示されています。
算定タイミング
退院支援指導加算は、退院日当日の指導を行った日に直ちに訪問看護基本療養費として算定するものではありません。
原則として、退院日の翌日以降、初日の指定訪問看護が行われた際に、訪問看護管理療養費へ加算します。
| 状況 | 算定の考え方 |
|---|---|
| 退院日に指導を行い、翌日以降に初回訪問看護を実施 | 初回訪問日に加算 |
| 退院日に指導を行い、初回訪問前に死亡 | 死亡日に算定 |
| 退院日に指導を行い、初回訪問前に再入院 | 再入院日に算定 |
| 訪問看護管理療養費を算定する月の前月に退院支援指導を実施 | 要件を満たせば算定可能 |
厚生労働省の留意事項では、退院支援指導加算は初日の指定訪問看護の実施日に1回に限り訪問看護管理療養費に加算し、初回訪問前に死亡・再入院した場合は死亡日または再入院日に算定するとされています。また、訪問看護管理療養費を算定する月の前月に退院支援指導を行った場合でも算定できます。
退院時共同指導加算との違い
退院支援指導加算と混同されやすいものに、退院時共同指導加算があります。
| 区分 | 退院支援指導加算 | 退院時共同指導加算 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 退院日当日に在宅療養上必要な指導を行う | 退院・退所前に医療機関等と共同して在宅療養上の指導を行う |
| 実施日 | 退院日当日 | 退院・退所前 |
| 実施者 | 訪問看護ステーションの看護師等。准看護師は除く | 訪問看護ステーションの看護師等と、医療機関・施設の主治医または職員 |
| 共同性 | 医療機関等との共同指導が必須ではない | 医療機関等との共同指導が必要 |
| 算定額 | 6,000円、長時間は8,400円 | 8,000円 |
| 文書提供 | 指導内容の記録が重要 | 指導内容を文書で提供することが必要 |
退院支援指導加算と退院時共同指導加算は併算定できる?
退院支援指導加算と退院時共同指導加算は、役割が異なる加算です。
退院時共同指導加算は「退院前の共同指導」を評価し、退院支援指導加算は「退院日当日の在宅療養上必要な指導」を評価します。そのため、利用者の状態や実施内容がそれぞれの要件を満たす場合は、両方が関係することがあります。
ただし、同じ内容を二重に評価するものではありません。算定する場合は、次のように記録を分けて整理しましょう。
| 確認項目 | 退院時共同指導加算 | 退院支援指導加算 |
|---|---|---|
| 実施日 | 退院前 | 退院日 |
| 記録 | 共同指導記録、文書提供、参加者 | 退院日当日の指導記録、実施時間、指導内容 |
| 内容 | 退院後の療養方針やサービス調整 | 退院日から在宅で必要な具体的対応 |
| 請求根拠 | 医療機関等との共同指導 | 訪問看護ステーションによる退院日指導 |
退院支援指導加算は、退院日当日の指導が前提です。
退院前のカンファレンスや退院後の初回訪問だけでは、退院支援指導加算の根拠としては不十分です。
退院時に訪問看護指示書の交付を受けていることが重要です。
指示書の交付日、有効期間、指示内容を確認し、退院日当日の指導と矛盾がないようにします。
8,400円を算定する場合は、対象者が長時間の訪問を要する者に該当し、1回または複数回の退院支援指導の合計が90分を超えている必要があります。令和6年度改定で、複数回の合計時間が90分を超える場合も対象に含まれるよう整理されています。
退院日当日に退院支援指導を行ったものの、退院日の翌日以降の初回訪問看護が行われる前に死亡または再入院した場合は、死亡日または再入院日に算定できます。
退院時共同指導加算と退院支援指導加算は、実施日・目的・内容が異なります。
両方が関係する場合は、退院前の共同指導記録と、退院日当日の退院支援指導記録を分けて残しましょう。
退院支援指導加算のQ&A
厚生労働省から情報が発表され次第、情報の更新を行います。
退院支援指導加算の解釈通知など
7 指定訪問看護を受けようとする者が、退院支援指導を要する者として別に厚生労働大臣が定める者に該当する場合に、保険医療機関から退院するに当たって、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)が、退院日に当該保険医療機関以外において療養上必要な指導を行ったときには、退院支援指導加算として、退院日の翌日以降初日の指定訪問看護が行われた際に6,000円(区分番号01の注10に規定する別に厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者に対し、長時間にわたる療養上必要な指導を行ったときにあっては、8,400円)を所定額に加算する。ただし、当該者が退院日の翌日以降初日の指定訪問看護が行われる前に死亡又は再入院した場合においては、死亡日又は再入院することとなったときに算定する。
5(1) 注7に規定する退院支援指導加算は退院支援指導を要する者に対して、保険医療機関から退院するに当たって、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)が、退院日に在宅での療養上必要な指導を行った場合(長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合にあっては、1回の退院支援指導の時間が 90 分を超えた場合又は複数回の退院支援指導の合計時間が 90 分を超えた場合に限る。)に初日の指定訪問看護の実施日に1回に限り訪問看護管理療養費に加算する。ただし、当該者が退院日の翌日以降初日の指定訪問看護が行われる前に死亡あるいは再入院した場合においては、死亡若しくは再入院日に算定する。なお、訪問看護管理療養費を算定する月の前月に退院支援指導を行った場合においても算定できる。
(2) (1)の「退院支援指導を要する者」とは、基準告示第2の8に規定する状態等にある利用者をいい、「長時間の訪問を要する者」とは、基準告示第2の3の(1)に規定する状態等にある利用者をいう。
(3) 退院支援指導加算は、利用者の退院時に訪問看護指示書の交付を受けている場合に算定する。
(4) 退院支援指導加算は、1人の利用者に対し、1つの訪問看護ステーションにおいてのみ算定できるものである。ただし、当該利用者が入院する保険医療機関の看護師等が行う退院日の訪問指導とは、併算定可とする。
(5) 退院支援指導を行った場合は、その内容を訪問看護記録書に記録すること。
※「内容が違う」など、記載内容に間違いがありましたら『記事修正リクエスト』よりご連絡ください。
スポンサーリンク

編集長
さく
介護事業所の請求や事務業務などに携わっています。

