【令和8年度】介護報酬かんたん試算ツールを公開しました

障害福祉サービスの体験利用支援加算とは?障害児入所施設の単位数・対象・記録ポイント

体験利用支援加算とは?算定要件とポイントのまとめ!【令和6年度改定】

記事内に広告を含みます

体験利用支援加算は、障害児入所施設に入所している児童が、退所後の地域生活に向けて宿泊や日中活動などを体験利用するときに、入所施設側が連絡調整・付き添い・記録などの支援を行った場合に算定する加算です。

最初に押さえたい点は、体験先のグループホーム、短期入所、生活介護、就労系サービスなどが「体験利用を受け入れたから算定する加算」ではないことです。算定主体は、原則として障害児入所施設側です。

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定で新設された加算で、体験利用支援加算(Ⅰ)が700単位/日、体験利用支援加算(Ⅱ)が500単位/日とされています。請求時は、対象児童、移行支援計画への位置付け、退所予定日から遡って1年間の体験かどうか、回数・日数の上限、支援記録を確認します。

体験利用支援加算の要点

確認項目内容
算定する事業者指定福祉型障害児入所施設、指定医療型障害児入所施設、指定発達支援医療機関
主な対象児童現に入所している障害児のうち、重症心身障害児、重度障害児、こども家庭庁長官が定める基準に適合する強度の行動障害を有する児童
計画上の条件移行支援計画に体験利用が計画されていること
対象となる時期現に入所している施設を退所する予定日から遡って1年間に行う体験
主な支援内容体験先との連絡調整、状態像・支援内容の共有、体験先への付き添い、緊急連絡体制、体験内容と児童の様子の記録、体験後の聞き取り
体験利用支援加算(Ⅰ)700単位/日。宿泊を伴う体験利用。1回2泊3日まで、2回を限度
体験利用支援加算(Ⅱ)500単位/日。宿泊を伴わない体験利用。1回5日まで、2回を限度
金額換算地域区分や一単位の単価により変わるため、記事では単位数で管理し、請求時は請求ソフト・自治体資料で確認
記録で重要なもの移行支援計画、体験先との連絡調整記録、当日の支援記録、児童の様子、体験先・本人・保護者等からの聞き取り、計画見直しの有無
注意点体験先事業所が算定する加算ではない。届出要否、請求コード、自治体独自の提出書類は都道府県等の最新資料で確認する

体験利用支援加算の対象事業者

体験利用支援加算の対象になるのは、障害児入所支援の事業者です。

区分対象
福祉型指定福祉型障害児入所施設
医療型指定医療型障害児入所施設
医療型に含まれる取扱い指定発達支援医療機関

検索では「障害福祉サービスの体験利用支援加算」と調べられることがありますが、通常の就労移行支援、就労継続支援A型・B型、生活介護、短期入所、共同生活援助などが、体験先として関わっただけでこの加算を算定するものではありません。

体験先の事業所は、入所施設から児童の状態像、支援上の配慮、緊急時の連絡方法などの共有を受け、体験が地域生活への移行に資する内容になるよう連携します。請求主体がどこかを取り違えると、サービスコードや実績記録の扱いを誤りやすいため注意が必要です。

算定対象になる児童

体験利用支援加算は、すべての入所児童に対して算定できる加算ではありません。対象は次の児童に限定されています。

  • 現に指定福祉型障害児入所施設、指定医療型障害児入所施設、指定発達支援医療機関に入所している児童
  • 重症心身障害児
  • 重度障害児
  • こども家庭庁長官が定める基準に適合する強度の行動障害を有する児童
  • 移行支援計画において体験利用が計画されている児童
  • 退所予定日から遡って1年間に体験利用を行う児童

対象児童かどうかを「障害名」だけで判断しないことが重要です。重度障害児や強度行動障害の基準に該当するか、移行支援計画に体験利用が具体的に位置付けられているか、退所予定日との関係が整理されているかを確認します。

特に強度行動障害に該当する児童については、別に定める基準の確認が必要です。受給者証、支援計画シート等、行動関連項目、施設内の判定資料など、施設で管理している根拠資料と告示上の基準を突き合わせておきます。

体験利用支援加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い

体験利用支援加算は、宿泊を伴うかどうかで区分が分かれます。

区分単位数対象となる体験回数・日数の上限
体験利用支援加算(Ⅰ)700単位/日障害福祉サービスの体験的な利用その他の体験活動のうち、宿泊を伴うもの1回2泊3日まで、2回を限度。1泊2日でも体験利用1回として判定
体験利用支援加算(Ⅱ)500単位/日障害福祉サービスの体験的な利用その他の体験活動のうち、宿泊を伴わないもの1回5日まで、2回を限度。5日間の体験活動を複数週・複数月に分散して利用することも可能

宿泊を伴う体験は、グループホームや短期入所などの体験が典型です。一方、宿泊を伴わない体験は、生活介護、就労継続支援B型、就労移行支援などの日中活動の体験が想定されます。

ただし、公式通知では、指定障害福祉サービス事業者が行うサービス利用だけでなく、民間企業が行う就労体験、家族等と居宅等で生活する体験など、地域生活への移行に資する幅広い体験が対象になり得るとされています。どの体験で算定する場合も、移行支援計画上の目的と、体験後の評価まで残すことが前提です。

算定要件を実務で確認する流れ

体験利用支援加算は、単位数だけを見て請求するのではなく、移行支援計画、体験先との調整、当日の支援、記録を一連で確認します。

1. 対象児童と退所予定日を確認する

まず、児童が加算の対象になる状態かを確認します。

  • 重症心身障害児、重度障害児、強度の行動障害を有する児童のいずれかに該当するか
  • 現に障害児入所施設等に入所しているか
  • 退所予定日が整理されているか
  • 体験利用日が退所予定日から遡って1年間に入っているか
  • 体験利用が地域生活への移行に資する内容か

退所予定日が曖昧なまま「将来のための見学」程度で実施すると、体験利用支援加算としての説明が弱くなります。移行支援計画や関係機関連携会議の記録とつながる形で整理しておきます。

2. 移行支援計画に体験利用を位置付ける

体験利用支援加算は、移行支援計画に体験利用支援が計画されている場合に算定できます。計画には、少なくとも次の内容を入れておくと確認しやすくなります。

計画に入れたい項目記載の方向性
体験利用の目的退所後の生活場所、日中活動、通所先、家族宅での生活など、何を確認する体験か
体験先事業所名、施設名、居宅等の場所、関係者
体験の区分宿泊を伴う体験か、日中活動等の体験か
支援上の配慮行動障害、医療的ケア、感覚過敏、食事、服薬、睡眠、移動、コミュニケーションなど
入所施設の支援内容事前調整、情報共有、付き添い、緊急連絡体制、事後評価
体験後の評価本人の反応、体験先の受け止め、移行先候補としての課題、計画見直しの要否

計画に「体験利用を行う」とだけ書くよりも、体験の目的、体験先、施設職員が担う支援、体験後に何を評価するかまで書いておく方が、請求時にも運営指導時にも説明しやすくなります。

3. 体験先と事前に連絡調整する

公式通知では、体験先施設等との連絡調整として、児童の状態像や指定入所支援の内容を共有し、特性や状態を踏まえた環境調整、体験時の接し方等について助言援助することが示されています。

事前調整では、次の情報を共有します。

  • 児童の基本情報と体験の目的
  • 強度行動障害、重症心身障害、医療的ケアなどの支援上の留意点
  • パニック、他害、自傷、飛び出し、睡眠、食事、排泄、服薬などのリスク
  • 落ち着ける環境、苦手な刺激、声かけの方法
  • 体験当日の連絡先、緊急時の対応、夜間連絡体制
  • 体験後に聞き取りたい観察ポイント

体験先とのやり取りは、電話やメールだけで終わらせず、日時、相手、共有内容、助言内容、決定事項を記録に残します。

4. 当日は付き添い・緊急連絡体制を確保する

体験利用の日には、新たな環境への適応に対する支援が必要です。通知では、体験先施設等への付き添いと、体験先施設等からの緊急連絡に対応できる体制を確保することが示されています。宿泊を伴う場合は夜間の対応体制も含めて確認します。

なお、付き添いはすべての日程で必ず常時行うという意味ではなく、児童の適応状況を判断した上で、体験利用時の一部日程では行わないこともあり得ます。その場合も、なぜ付き添いを外したのか、緊急連絡体制をどう確保したのかを記録しておくことが重要です。

取得単位と請求前チェック

体験利用支援加算の単位数は、次のとおりです。

加算区分単位数請求前に見るポイント
体験利用支援加算(Ⅰ)700単位/日宿泊を伴う体験か。1回2泊3日まで、2回限度を超えていないか
体験利用支援加算(Ⅱ)500単位/日宿泊を伴わない体験か。1回5日まで、2回限度を超えていないか。分散利用の日数管理ができているか

請求前には、次の順で確認します。

  1. 児童が対象要件に該当している
  2. 移行支援計画に体験利用が位置付けられている
  3. 体験利用日が退所予定日から遡って1年間に入っている
  4. 宿泊を伴う場合は(Ⅰ)、宿泊を伴わない場合は(Ⅱ)で整理している
  5. 1回あたりの日数上限と2回限度を超えていない
  6. 事前の連絡調整、当日の支援、体験後の記録が残っている
  7. 請求コード、実績記録、体制届の扱いを都道府県等の最新資料で確認している

金額は、単位数に地域区分等の一単位の単価を乗じて算定されます。記事上では700単位、500単位として整理し、実際の金額換算は請求ソフト、サービスコード表、自治体資料で確認してください。

記録に残すべき内容

体験利用支援加算では、体験前、体験中、体験後の記録が重要です。単に「体験利用を実施」と記録するだけでは、加算の根拠として弱くなります。

タイミング記録項目
体験前移行支援計画上の位置付け、退所予定日、体験の目的、体験先、区分(Ⅰ・Ⅱ)、予定日数、何回目の体験か
事前調整体験先と共有した児童の状態像、支援内容、環境調整、接し方、緊急連絡体制、夜間対応の有無
体験当日実施日、時間、場所、付き添いの有無、施設職員の支援内容、児童の様子、トラブルや変更点
体験後本人・保護者・体験先からの聞き取り、体験を終えた所見、移行先としての課題、次回体験や計画変更の必要性
請求前算定区分、日数、回数、請求コード、自治体の届出・提出書類の扱い

体験利用支援加算(Ⅱ)では、5日間の体験活動を複数週や複数月に分散して利用することも可能とされています。分散して実施する場合は、1回分の体験として管理する日付、日数、目的、評価を一覧で残しておくと確認しやすくなります。

混同しやすい加算との違い

強度行動障害者体験利用加算との違い

「強度行動障害者体験利用加算」と「体験利用支援加算」は名称が似ていますが、同じ加算として扱わないように注意します。

体験利用支援加算は、障害児入所施設等に入所している児童の地域生活への移行に向けた体験利用を、入所施設側が支援した場合の加算です。強度行動障害のある児童が対象に含まれますが、重症心身障害児や重度障害児も対象に含まれます。

強度行動障害者体験利用加算について調べている場合は、対象サービス、算定主体、単位数、請求コードが別制度にならないかを確認してください。

地域移行加算との違い

地域移行加算は、退所に先立つ相談援助、退所後に生活する居宅への訪問、退所後の相談援助などを評価する加算です。

一方、体験利用支援加算は、宿泊や日中活動などの体験利用そのものに対して、体験先との連絡調整、付き添い、環境適応支援、体験後の記録を行った場合に算定します。

両方とも退所・地域生活への移行に関係しますが、評価している支援場面が異なります。請求時は、同じ日の支援内容、記録、サービスコードの組み合わせを確認してください。

移行支援関係機関連携加算との違い

移行支援関係機関連携加算は、移行支援計画の作成または変更にあたり、都道府県、市町村、教育機関、相談支援事業者、基幹相談支援センターなどの関係者で会議を開催し、情報共有や連携調整を行った場合に算定する加算です。

体験利用支援加算は、その移行支援計画に基づいて、実際に体験利用を行う場面での支援を評価します。つまり、会議で計画を整える加算と、体験利用を支援する加算を混同しないことが大切です。

体験利用支援加算のQ&A

宿泊がない日中活動の体験でも算定できますか?
要件を満たす場合は、体験利用支援加算(Ⅱ)の対象になります。体験利用支援加算(Ⅱ)は、障害福祉サービスの体験的な利用その他の体験活動のうち、宿泊を伴わないものが対象です。
生活介護、就労継続支援B型、就労移行支援などの日中活動を体験する場合は、移行支援計画上の目的、体験先との調整内容、体験後の評価を記録に残します。
1泊2日の宿泊体験は何回として数えますか?
体験利用支援加算(Ⅰ)について、1泊2日の宿泊の場合でも体験利用1回として判定するとされています。体験利用支援加算(Ⅰ)は1回2泊3日まで、2回を限度とする取扱いです。
請求時は、回数の判定と、実際に算定する日数を分けて確認します。具体的な実績記録や請求コードの入力方法は、自治体資料や請求ソフトで確認してください。
体験利用支援加算(Ⅱ)の5日間は連続していないと算定できませんか?
連続していなくても、5日間の体験活動を複数週や複数月に分散して利用した場合も算定可能とされています。
ただし、分散して実施する場合は、同じ目的の体験として管理できるように、実施日、体験先、支援内容、児童の様子、体験後の評価を一覧化しておくと安全です。
体験先へ費用を支払うことはできますか?
体験利用支援加算(Ⅱ)の取扱いとして、必要に応じて指定福祉型障害児入所施設が、障害児の体験に要した費用を体験先施設等に支払うことは差し支えないとされています。
実務上は、何の費用を誰が負担するのか、保護者負担が発生するのか、領収・契約・請求処理をどうするのかを、事前に体験先と自治体へ確認しておく必要があります。

コメントを残す