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通院等乗降介助は、訪問介護員等が自ら運転する車両への乗車・降車の介助に加えて、乗車前後の移動介助や、通院先・外出先での受付、移動などの介助を行う場合に算定する訪問介護費です。
令和3年度介護報酬改定では、目的地が複数ある場合の扱いが見直されました。現在は、居宅が一連の移動の始点または終点になっており、同一の訪問介護事業所が移送を行う場合に限り、病院から病院への移送や、通所系サービス・短期入所系サービス事業所から病院等への移送に係る乗降介助も算定対象になります。
ただし、病院から病院への移動だけで居宅が関係しない場合や、単なる院内移動だけの場合は、通院等乗降介助として算定できません。移送に係る運賃も介護保険の対象外です。
通院等乗降介助の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象サービス | 訪問介護 |
| 主な対象者 | 介護保険の訪問介護を利用する要介護者 |
| 算定場面 | 通院等のため、訪問介護員等が自ら運転する車両への乗車・降車介助を行い、乗車前後の移動介助または通院先等での手続き・移動介助を行う場合 |
| 令和6年度改定後の単位数 | 1回につき97単位 |
| 令和3年度改定時の単位数 | 1回につき99単位 |
| 令和3年度改定で広がった扱い | 居宅が始点または終点となる一連の移動で、同一事業所が行う場合、病院間やデイサービス・短期入所系事業所から病院等への目的地間移送も算定可能 |
| 重要な記録 | 訪問介護計画、居宅サービス計画、サービス提供記録、移動区間、乗降前後の介助内容、受診手続き・院内移動介助の内容 |
| 注意点 | 乗車と降車を別々に算定しない。運転時間・運賃は介護報酬の対象外。通所系・短期入所系サービスの送迎との関係を確認する |
令和3年度改定前は、複数の目的地を移動する場合、とくに医療機関から医療機関への移動や、デイサービス等の事業所から病院への移動をどう扱うかが分かりにくい状態でした。
令和3年度改定では、利用者の身体的・経済的負担の軽減や利便性の向上の観点から、次のような目的地間の移送も算定可能とされました。

| 移動パターン | 算定の考え方 |
|---|---|
| 自宅 → A病院 → B病院 → 自宅 | 居宅が始点・終点に含まれ、同一事業所が行う場合、A病院からB病院への目的地間移送も算定対象になり得る |
| 自宅 → A病院 → B病院 | 居宅が始点になっており、同一事業所が一連の移送を行う場合、病院間の移送も算定対象になり得る |
| A病院 → B病院 → 自宅 | 居宅が終点になっており、同一事業所が一連の移送を行う場合、病院間の移送も算定対象になり得る |
| A病院 → B病院のみ | 居宅が始点または終点にならないため、通院等乗降介助としては算定できない |
| デイサービス事業所 → 病院等 → 自宅 | 居宅が終点となり、同一事業所が移送を行う場合、デイサービス事業所から病院等への目的地間移送も算定対象になり得る |
| 自宅 → デイサービス事業所のみ | 通所系サービスの通常の送迎との区分が必要。通院等乗降介助として扱えるかは、通院等の目的、特別な事情、計画上の位置付けを確認する |
ポイントは、「目的地間なら何でも算定できる」ではなく、「居宅を始点または終点に含む一連の移動か」「同一の訪問介護事業所が行うか」です。
通院等乗降介助の算定要件
通院等乗降介助は、単に車で送迎するだけでは算定できません。訪問介護としての介助が必要です。
算定の中心になるのは、次の一連の行為です。
| 介助の場面 | 記録に残したい内容 |
|---|---|
| 乗車前 | 居室から玄関、玄関から車両までの移動介助、歩行見守り、車いす移動、転倒予防、乗車準備 |
| 乗車時 | 車両への乗車介助、車いすから座席への移乗介助、シートベルト確認 |
| 降車時 | 車両からの降車介助、車いすへの移乗、転倒防止 |
| 降車後 | 病院入口や受付までの移動介助、受診手続き、院内の必要な移動介助 |
| 複数目的地 | A病院からB病院、通所系事業所から病院等への移動区間、同一事業所による実施状況 |
車両内から見守るだけ、運転だけ、院内の移動介助だけでは、通院等乗降介助として整理できません。乗車または降車の介助に加えて、乗車前後の移動介助や通院先等での手続き・移動介助を実際に行っていることが必要です。
訪問介護計画・居宅サービス計画への位置付け
請求前に、少なくとも次の点を計画上で確認します。
| 確認項目 | 実務上の見方 |
|---|---|
| 通院等の目的 | 受診、検査、入退院、通院に準じる外出として計画に位置付いているか |
| 利用者の状態 | 公共交通機関や通常送迎だけでは移動が難しい理由が説明できるか |
| 介助の内容 | 乗降介助、乗車前後の移動介助、受付・院内移動介助のどれを行うか |
| 移動区間 | 自宅、病院、デイサービス、短期入所事業所など、始点・終点・経由地が明確か |
| 同一事業所 | 複数目的地の移送を同一の訪問介護事業所が行う整理になっているか |
| 他サービスとの関係 | 通所系サービスの送迎減算、短期入所系サービスの送迎加算との重複がないか |
サービス担当者会議で通院・送迎・介助の分担を整理する場合は、サービス担当者会議の要点(第4表)の記載要領もあわせて確認しておくと、ケアマネジャー、訪問介護事業所、通所系事業所の認識をそろえやすくなります。
令和3年度改定では、通所系サービス・短期入所系サービス事業所から病院等への移送に係る乗降介助も、一定の条件で通院等乗降介助の対象になりました。
ただし、この場合は通所系・短期入所系事業所側の送迎報酬との関係も整理します。
| 関係するサービス | 請求時の考え方 |
|---|---|
| 通所系サービス | 通所系サービス事業所が利用者宅と事業所間の送迎を行わない場合、送迎を行わない場合の減算を適用する扱いになる |
| 短期入所系サービス | 短期入所系サービス事業所が利用者に対して送迎を行う場合の加算は算定できない扱いになる |
| 訪問介護 | 居宅が始点または終点となる一連の移動で、同一事業所が行う目的地間移送かを確認する |
| 居宅介護支援 | サービス利用票、居宅サービス計画、各事業所の役割分担に矛盾がないか確認する |
たとえば、デイサービス利用中に受診が必要になり、デイサービス事業所から病院へ行き、その後自宅へ戻るようなケースでは、訪問介護側だけでなく、通所介護側の送迎減算の有無も確認が必要です。
単位数は令和6年度改定後97単位
通院等乗降介助の単位数は、令和3年度改定時点では1回につき99単位でした。
その後、令和6年度介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬が見直され、通院等乗降介助は1回につき97単位になっています。
| 時期 | 単位数 |
|---|---|
| 令和3年度改定後 | 99単位 |
| 令和6年度改定後 | 97単位 |
通院等乗降介助と身体介護中心型の違い
通院等乗降介助と、身体介護中心型の通院・外出介助は、同じ移動場面で迷いやすい区分です。
| 区分 | 主な考え方 |
|---|---|
| 通院等乗降介助 | 車両への乗車・降車介助を中心に、乗車前後の移動介助や通院先等での手続き・移動介助を一連で行う |
| 身体介護中心型 | 乗降介助の前後に、相当の時間と手間を要する身体介護が連続して必要な場合などに検討する |
| 併算定 | 同じ一連の行為を、通院等乗降介助と身体介護中心型に細かく分けて二重に算定しない |
要介護4または要介護5の利用者で、乗車・降車の前後に20〜30分程度以上を要する手間のかかる身体介護を連続して行う場合は、身体介護中心型として整理する場面があります。
一方で、通院等乗降介助に含まれる「声かけ」「目的地へ行くための準備」「院内の移動等の介助」を、別に身体介護中心型として切り出して請求することはできません。
請求前チェックリスト
通院等乗降介助を請求する前に、次の項目を確認します。
- 介護保険の訪問介護として算定できる利用者か
- 通院等の目的が居宅サービス計画・訪問介護計画に位置付いているか
- 乗車・降車介助だけでなく、乗車前後の移動介助または通院先等での手続き・移動介助を行っているか
- 自宅、病院、デイサービス、短期入所事業所などの移動区間が明確か
- 居宅が始点または終点となる一連の移動か
- 病院間・事業所から病院等への目的地間移送を、同一の訪問介護事業所が行っているか
- 乗車と降車を別々に数えていないか
- 移送運賃を介護報酬に含めていないか
- 通所系の送迎減算、短期入所系の送迎加算不可の扱いに矛盾がないか
- サービス提供記録に、時刻、区間、介助内容、利用者の状態を残しているか
サービス提供記録に残したい記載例
記録は、単に「通院介助」と書くだけでは不十分です。どの区間で、どの介助を行ったかを残します。
| 場面 | 記載例 |
|---|---|
| 自宅から病院 | 9:00 自宅居室から玄関まで歩行見守り。玄関前で車両へ乗車介助。9:20 A病院到着、降車介助後、受付まで移動介助し受診手続きを支援。 |
| 病院から病院 | 10:30 A病院会計後、車両まで移動介助し乗車介助。10:50 B病院到着、降車介助後、受付まで移動介助。自宅を始点とする一連の通院で同一事業所が実施。 |
| デイサービスから病院 | 14:00 デイサービス事業所玄関から車両まで移動介助、乗車介助。14:20 B病院到着、降車介助、受付・診察室前までの移動介助。受診後は自宅まで移送し降車介助。 |
| 病院から自宅 | 11:40 病院会計後、車両まで移動介助、乗車介助。12:05 自宅到着、降車介助、玄関から居室まで移動介助。 |
電子保存で記録を管理している事業所は、記録の真正性・見読性・保存性もあわせて確認しておく必要があります。記録管理の考え方は、介護記録の電子保存の要件やポイントも参考になります。
よくあるQ&A
- 病院から病院へ移動する場合は算定できますか?
- 病院から病院への移動だけを切り出す場合は、通院等乗降介助として算定できません。
ただし、居宅が始点または終点となる一連の移動で、その間の病院から病院への移送を同一の訪問介護事業所が行う場合は、算定対象になり得ます。
- デイサービスから病院へ行く場合も算定できますか?
- 居宅が始点または終点となる一連の移動で、同一の訪問介護事業所が移送を行う場合は、通所系サービス事業所から病院等への目的地間移送も算定対象になり得ます。ただし、通所系サービス事業所が利用者宅と事業所間の送迎を行わない場合の減算、短期入所系サービスの送迎加算不可の扱いも同時に確認します。
- 1回の通院で乗車と降車を2回に分けて算定できますか?
- 乗車と降車をそれぞれ別々に算定することはできません。通院等乗降介助は、片道の一連の介助として整理します。
複数の目的地がある場合は、移動区間ごとに居宅が始点または終点となる一連の移動か、同一事業所が行っているかを確認します。
- 院内の移動介助だけでも通院等乗降介助になりますか?
- 院内の移動や受付手続きだけをもって、通院等乗降介助として算定することはできません。通院等乗降介助は、車両への乗車または降車の介助に加えて、乗車前後の移動介助や通院先等での手続き・移動介助を行う一連のサービスです。
- 介護タクシーの運賃も介護保険で請求できますか?
- できません。介護保険で評価されるのは、訪問介護としての乗降介助等です。移送そのもの、運転時間、運賃は介護報酬の対象外です。
運賃、待機料、キャンセル料などを利用者に請求する場合は、重要事項説明書、契約書、料金表で説明し、道路運送法等の関係法令にも抵触しないよう確認します。
※「内容が違う」など、記載内容に間違いがありましたら『記事修正リクエスト』よりご連絡ください。
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編集長
さく
介護事業所の請求や事務業務などに携わっています。

